2012年9月21日金曜日

岩木遠足の日に


今年の岩木遠足は、すでにお伝えしたとおり、残念ながら開催を見送ることになりました。関係者、出演者の皆様、そして何より参加者の皆様、本当にご迷惑をおかけしました。あたらめて、お詫び申し上げます。すみませんでした。



岩木遠足の開催の予定日であった9月15日に、今回の出来事に対する検証や反省、そしてこれからどうするのかをスタッフみんなで集まり、話し合う場を持とうということになりました。

それから、今年予定していたコースのうちのひとつである縄文コースをスタッフだけで行ってみようという話にもなりました。これは、昼食などの食材をすでに仕入れてしまっていたという具体的な理由もありましたが、実は多くのスタッフは今まで実際に遠足を経験していないので、この際、行ってみようということになったのです。

岩木遠足は非営利事業としてボランティアによって構成される実行委員会が主催しています。開催日までに打ち合せや下見、準備したりで部分的に遠足を経験してはいますが、当日はみんなそれぞれの持ち場で仕事をしなければいけないので、遠足のプログラムを実際に経験することはできません。ですから、皮肉にも、岩木遠足が中止になってはじめてスタッフが岩木遠足を経験する機会となったのです。

遠足の予定どおり、弘前駅に午前9時に集合し、(バスはキャンセルしたので)車に分乗して、青森県立美術館へ向い、マタギの工藤光治さんの話を伺いました。縄文時代から引継いだかのようなマタギの考え方や生活方法など、もっと聞きたい話ばかりでした。昼食は、サシーノのスパイスポークカレー、もちろんとてもおいしかったです。その後、小牧野遺跡へ移動し、考古学者の児玉大成さんより、遺跡について、縄文人のコミュニケーションについて、ヘーゼルナッツの食べ方、丸い棒をクルクル回すだけの火おこしなど、具体的な体験も交えた内容でした。



コースの予定を終えて、弘前へともどる車の中で思いました。岩木遠足、楽しいな。みんなで共通の興味を持って何かを一緒に体験するって素晴らしいな。こう言うと不謹慎かもしれないけど、もしかするとこのタイミングで中止なって良かったのかもしれない。過去三回開催して、いろいろな問題がありつつもみんなで乗り越えやってきた四年目で、はじめてスタートにいるような、遠足ってなんなのかなっていう問いかけに少し答えを見つけられたような、そんな気持ちになりました。

実行委員会では、原因の検証や、中止の後処理について話し合いました。スタッフみんなの思いを交換しました。そして、出演者や参加者の皆さんから、迷惑をかけたにもかかわらず頂いた、励ましや温かい言葉、具体的な改善のためのアイデアなどを読みました。そして、改めて思いました。

岩木遠足は、僕たち実行委員会のメンバーだけでつくっているのではなく、出演者や参加者の皆さんと一緒になって作ってきたんだということを。企画していく段階で、参加者のみなさんに楽しんでもらいたいという思いから、どうしても主催者とお客様という興行的な立場関係にとらわれがちになります。でも、岩木遠足は営利目的の事業としてではなく、そもそも、やりたい人が集まって始まる、みんなが気持ちよく、楽しいから参加している出来事です。そして、この「みんな」は僕たちだけでなく、全ての関係者、出演者、参加者を含む「みんな」だったということをはっきりと感じることになりました。

岩木遠足の日に行われた、もう一つの遠足での気持ちをふまえ、来年、これからの岩木遠足について、もう少しよく話し合いたいと思っています。今回の実行委員会で話した内容は、後ほどまとめたものを公開させていただき、岩木遠足に参加してくださっていた「みんな」と共有しておきたいと思います。

中止となった岩木遠足の日のことをご報告するとともに、あらためてお礼を言わせていただきたいと思い書きました。
岩木遠足を一緒に作ってくださり、ありがとうございます。

豊嶋秀樹(岩木遠足ディレクター)





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